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2011.8.16 日常日記

杉本文楽 曽根崎心中

杉本博司さんが演出した「杉本文楽 曽根崎心中」を観に行った。伝統芸能を観る機会はあまり無いけれど、妻は人形劇を観るのが小さい頃からの夢で、その夢を叶えるタイミングで、一緒に連れて行ってもらった。

人形劇にリアリズムがあるのか、また人間が演じる劇とはどのように違うのかに興味があった。実際に観てみると、人形とは投影なんだなと思った。もろもろの強い情念なり感情なりが、まるで水をろ過して不純物を取り除くように、余計な情報を取り除いて投影される。舞台装置も音楽も、それとバランスを取るようにシンプルで、余計なものが何もない。人間が演じるのが小さな物語の集積だとすれば、人形はその逆だなと思った。

終盤の心中シーンで、妙にリアルだなと思った瞬間があった。薄暗い森の中で、かつて本当にこういう死に方をした人がいたんじゃないかという気持ちになり、そうするとなんだか怖くなって震えた。繊細な動きで語られているのは、その肉体的な現象ではなく、精神の移ろいのみという感じがして、それが逆に人間らしくて怖かった。

帰りは中華街まで歩き、前から行きたかった台湾料理屋で水餃子とチャーハン、空心菜を食べた。水餃子は皮が厚く、中味も良かった。