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2010.9.3 日常日記

上町〜松陰神社で飲む。

世田谷の上町あたりで飲んでみようということになって、いそいそと自転車を走らせた。僕の家から世田谷駅までは一直線なので、そこからゆっくり散策。静かで、不便で、でも不思議な活気のあるエリア。街の隅っこのほうに、マニアックなアンティーク家具のお店があったり。それも数軒ある。この街には需要があるのかな。

居酒屋やバー、定食屋もたくさんある。焼肉屋も多い。大きなスーパーもある。でも、なぜか良い具合に喧騒からはずれていて、どの店もどこか、ひっそりしている。もし次に引っ越すとしたら、このあたりは肌に合うかもしれない。

前から気になっていた「串かつ田中」に入ってみる。カリカリの食感。数日前から、無性にケンタッキーに行きたいと思っていたのだが、その欲求を大いに満たしてくれた。個人的には、通天閣付近で食べた串かつ屋より、確実においしかった。まぁ大阪にはきっと、よりおいしいお店はあるはずだろうけれど…。相当いっぱい食べていっぱい飲んだけど、お会計はひとり2000円くらい。お店の前を通りがかるといつも満席である理由が分かった。

もう一杯程度飲みたいと思い、松陰神社付近をうろつく。そうすると、しゃっくりが止まらない。ものすごい勢いでしゃっくりが出る。不運なことに、そこに仕事の電話がかかってきてしまった。「それではヒャ〜ッ宜しくヒェ〜ッお願いいたしヒョ〜ッます、、、」みたいな感じで、ものすごく恥ずかしかった。

松陰神社駅の近くに、「カクテルの店 バッカス」とだけ書かれた、一切屋内の様子が分からないバーがあった。一見すると、ものすごくぼったくられそうな、ヤのつく商売の人が出入りしていそうな、そんなたたずまいではあるのだが、でもそういうお店は、看板は出すまい。「カクテルの店 バッカス」の看板は、煌々と、分厚い扉の前で輝いていたのだ。

しゃっくりが依然止まらないことが気がかりではあったが、勇気を持って中に入った瞬間、「当たりだ!」と思った。ホコリっぽい匂いのする、古めかしい、まっとうなバーだった。奥におじいさんがグラスを磨いていた。話を聞くと、もう50年も営業しているらしい。値段も実に良心的。なんで外から屋内がまったく見えないようにしているんですか、と聞くと、「そのほうが、入られた方にとっては、安心できるんですよ」とのこと。なるほど、確かにそうかもしれない。

スコッチを2杯頼んだが、何も言っていないのに勝手に水割りにしてきたりする感じが、なぜか嫌みではなく、とても良いなと思ったのが不思議だった。同じことを違う人が違うシチュエーションでやったら、どう思うか分からないけれど、おじいさんが、「こう飲むとうまい」と言ってくれたなら、それで飲んでみようという気になるし、実際に飲んだら美味しかったから反論のしようもなかったのだ。

カクテルの店という以上はカクテルを飲もうと思ったが、まったく詳しくない。けっきょく何を頼んだか忘れたが、薦められるがままに飲んだカクテルが、絶妙な甘味と酸味で、美味しかった。カクテルを作るときにこれ見よがしにシャカシャカやられると腹が立つのだが、おじいさんの動きは必要最低限という感じで、奥ゆかしさがあった。おいしく飲んでいると「しゃっくり、止まりましたね。けっこう前から止まっていましたよ。いつ言おうかと思っていたんですが」と言われた。その言うタイミングが絶妙だった。