「男でつらいよ源次郎の恋」制作回想その2
素材を選りすぐるという作業も大変だったが、ラストをどうするかというのは大きな問題だった。ラストの印象で、作品全体の印象もがらりと変わると思うし、見終わった後の「後味」を左右するのは間違いなくラストの演出である。そう思うと、僕はなんとなく(敢えて、というべきか)この件については放っておいた。時がいずれ解決してくれるだろう、なんてたかをくくっていた。
そうは言いつつも、僕は森達也の「A」の終わり方やマイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバイン」の終わり方は、ひとつの憧れとして胸の中に常にあった。特に「ボーリング・フォー・コロンバイン」の、あの壮大な終わり方は、あそこだけ見たってしびれてしまう。なんだって彼は、あそこに何よりも「アメリカ的な」ロックンロールを入れたんだろう。なんてすばらしい演出なんだろう。極端に言えば、「ボーリング・フォー・コロンバイン」がただの説教ドキュメンタリーを抜け出したのは、あのラストの曲があったからだと僕は思っている。
そう考えると、僕はどうにか、すでに作品の序盤に使用していたセックスピストルズを、ラストにもう一度どかんと持って行きたかった。いろいろあったけど、まあ最後は「ピースな愛のバイブスでポジティブな感じ」で終わっておきたいというのが僕の考えだった。ちなみにそれまでの仮ラストは、フランス的な静かなお洒落音楽だった。これはこれで、新しいラブシチュエーションを演出しているし、良かったのだが、いまいちパンチに欠けるというのは否めないところだ。
そういうことで、僕は仮ラストであるフランスっぽい曲から、無理やりセックスピストルズに移って、エンドロールに行くというバージョンで一回最後まで編集し、テープに書き出した。わざわざ書き出したのは、不安だったからだ。だいたいなんで、「源次郎が好きな曲」だというだけで、セックスピストルズの曲がエンディングテーマにまでならなければならないのだろう?なんていうか、「ただマイケルムーアをぱくっただけ」という単純さが、不安だったのだ。
書き出したテープを共同制作者であるづけしに見せると、やはりエンディングテーマについて言われる。「これ…、どうなのかなぁ?」そしてづけしが代案として出したのが、源次郎が歌う「青大空」という唄をまるまるラストに持っていくというアイデアだった。







