2008.4.03

「靖国」東京上映中止のこと

靖国 YASUKUNI [DVD]
ドキュメンタリー映画「靖国」の東京上映が中止になったということで話題になっている。この件について、今朝の朝日新聞では、僕の尊敬するドキュメンタリー作家、森達也氏が考えを書いている。

それによると、まず前提として、そもそもドキュメンタリーというのは主観的な表現物であって、客観的で中立なドキュメンタリーなど、あり得ないと書いてある。しかし、一般的には、ドキュメンタリーは中立で客観的であるべきだ、と思っている人たちは多いわけで、そう言う人たちの映像作品に対するリテラシーの無さが、今回の問題を引き起こしている、と書いてあった。僕もまったく同意見だ。「偏向したメッセージを持つ作品に助成金を与えるのは正当なのか」と問うた議員が、今回の問題に関して「上映中止は遺憾だ、表現の自由を尊重したい」などと支離滅裂なことを言っている。そもそも、ドキュメンタリーというのは、極端に言えば、偏向したメッセージを伝えるメディアなのだ。

そもそも森達也氏がオウム真理教に迫ったドキュメンタリー「A」「A2」も、公開当時の時代状況に照らせば、「オウム擁護」ともとれる表現があったわけで、相当な物議を醸したらしい。あの作品はオウム非難か擁護かという論争を越えた部分で、あの時代、あの事件のある種の真実を切り取った作品だと思うし、それは実際に見てみないと分からないことだ。

映画の前情報だけでは、どうしても、二極化された薄っぺらい情報だけで作品を判断してしまう。今回の「靖国」も、おそらく同じように、見てもらってはじめて評価ができる作品なんだと思うし、だからこそ多くの人が見る機会が失われるのは残念なことだ。

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