2007.5.14

映画断食の解除

締切に追われているのに、あせっているのに、頭も身体もあせろうとしない。それにあせる。言葉にすると意味が分からないが、そういう状況だ。

努力をする。考える。神経を研ぎ澄ませる。そうして生まれたもののくだらなさや拙さを、世界で一番最初に気づくのは、作った本人なんだろう。それは非常に傷つく。でも作ってしまわないと、先には進めないわけで。

あーあ、休みたいな。八丈島みたいなところに行きたい。

約一年ぶりに、映画を見始めた。そのあいだ、アレクサンドル・ソクーロフ監督の『太陽』をのぞいて、映画を見なかった。意図して見なかったような、ただ何となく見なかったような。とりあえず、一番好きなアッバス・キアロスタミ作品を見直した。それから北野武『ソナチネ』、黒澤明『椿三十郎』、小津安二郎『秋刀魚の味』、うーんどれも正統派。でもどれも面白かった。面白い映画を見ないと、もう映画見なくなっちゃうような気がして。安全パイなチョイス。

つまらない映画を見てしまうと、日常のいろんなものがつまらなく見えたり、やけに腹立たしく思ってしまうのだ。それが、僕には生活上の大きな問題になる。でも「これはおもしろい」とハッキリ分かっている映画ってのは、結局古い作品になってしまう。新しい作品を見て、どれがおもしろかったかとか、つまらなかったかとか、議論するのは楽しいのだが、別にそんなところで博打みたいなことしなくてもいい。だいたいつまらない映画は、毒にはなるけれど、薬になるとは思えない。100本の新作映画をくじ引きみたいに見るよりも、1本の厳選された映画を100回見ることに価値を感じる。おもしろい映画を見て、どうおもしろかったかとか、なぜおもしろかったかを考えるのが楽しい。

こうして僕は、「つまらないと思っていたけど、実はおもしろかった」という類の作品を、次々と見逃しているのだろう。実に保守的な姿勢だ。そして損なことだ…。ただ僕にはそういう博打は、美術鑑賞で体験するので精一杯だ。ものを見るには充分な気力や体力が要る。

そういうわけで、これからアキ・カウリスマキ作品を見ながら寝ます。おもしろくありますように。それから、ポスター制作がうまく進みますように(自分次第なわけだが)。お腹はずいぶんよくなりました。腹巻のおかげです。

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