アートで候 会田誠・山口晃展
上野の森美術館
「アートで候 会田誠・山口晃展」
会田誠は、僕が一番好きな現代美術作家。社会的タブーに触れる刺激的な題材(エロ、グロ、差別など)をわざわざ選び、それをものすごい画力で超リアルに描くか、もしくは徹底的に手を抜いて表現する。
山口晃は、大和絵をベースにした、ウォーリーを探せ調の「現代風浮世絵」を描く。日本橋三越のポスターなどで見たことのある人も多いだろう。
そんな二人の展覧会が、上野で開かれるというので行ってみた。
久しぶりの上野。上野公園に来ると未だに、芸大の試験のことを思い出す。そういえば、会田誠も山口晃も、芸大生。今回の企画は、そのことをかなり意識している感じはする。芸大はふたりにアカデミックな絵画教育を受けさせて、エリートとして芸術家街道を歩ませようとしていたのに、どうも思うようにはいかなかったようだ。しかし村上隆も含め、そういう「思うようにいかなかった」作家たちが世界中で脚光を浴びている現状は面白い。というか、美術ってそんな感じなのかな。
そんな皮肉を込めたのかどうか、山口晃の最初の展示が石膏デッサンなのは笑える。会田誠の学生時代の作品は、まさに水戸でやってたマイクロポップの世界。そうそう、マイクロポップ的な作品ってこうやって系譜を追うような見せ方が適切だと思う。
この企画展の感想が難しいのは、ふたりとも散々見てきたアーティストであると同時に、新作がそれほどのインパクトがあったわけでもなく、しかしそれなりに評価できるようなものだったからだろう。会田誠の「滝の絵」も良いし、「今年はヴィトンが豊作じゃあ」と言って農民が泥だらけのカバンを掘り出す絵もよかった。山口晃のインスタっぽい感じの展示も面白かったし。しかしいずれにせよ、これらの作品は、作家のターニングポイント的な作品ではなくて、今後大規模な個展が開かれたときのパーツの一部といった扱われ方になるだろう。
ただ、やはりふたりとも、画力というか、絵作りの上手さってのはスゴイなぁと思う。会田誠については下手に描くんでも「こうしたら下手に見える」という演出が働いていて、妙に感心させられる。
この二人、やってることは完全に「芸」だと思う。アートの語源はテクニックというような意味だそうだが、その語源どおりの作品群だ。落語とか、歌舞伎とかに通ずるものがあると思う。でも彼等のそういうある種ストイックな部分が(あまり思想的な部分で勝負をしないというか、現代美術の潮流に斜に構えているあたりが)、作家としての評価を高めているポイントなのかなぁという気がする。やっぱり、すぐれた「芸」は、何度でも見たくなる。







