2008.4.21

モップ

先日、いろいろ理由があって、一気に10カ所くらいのギャラリーや美術館をめぐった。美術館はともかくとしても、ギャラリーの場合はスペース上、すぐに見終わってしまうわけで、一日にいくつも観た方が効率が良い。清澄白河なんてのは6つくらいのギャラリーが同じビルに入っているから観る側としてはとてもありがたい。

数多く観た中で一番印象に残ったのが、その清澄白河にあるTOMIO KOYAMA GALLARYで展示されていた福永大介さんという画家の展示である。経歴を見たら同い年だ。すごいなあ。僕は画家になりたいわけではないが、出遅れている…。

そんなことはどうでもいいが、この画家、今回の展示ではどの絵でもモップばかり描いている。モップというのは、もちろん掃除に使うモップである。ほかのモチーフも描く画家のようだが、今回はとにかくモップで攻めている。モップのあのびらびらも、執念のように描く。なんでそんなにモップなのか。モップの何に魅かれたのか。謎はますます深まる。気付いたら、にんじんとかタイヤとか、モップでないものもモップのような質感で描いている。

マイクロポップが日常の延長で云々というのも分かるが、僕はこうした作品のほうが作家の日常を感じる。なにか日々、生活していて、モップに感じるものがあったのだろう。お寺で育ったので、毎朝掃除していたとか。中学のとき、モップを顔面に押し付けられてトラウマになったとか。モップに恋しているとか。気になるなあ。

ギャラリーなので、もちろん絵は売られている。一枚120万円。モップへの愛着にここまで値段がつけられているのはすごいことだ。いや単純に、絵画っていうのは表現としてすごく素朴なジャンルで、その一方でやけにメタ的な(美術史やサブカル的な世界に閉じこもっていてまわりくどい、というニュアンスの)作品というのが多くなってきている中で、彼のように感覚や印象を素直にトレースした作品というのは、やっぱり力強いなという印象を持った。

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